キーボードにこだわりすぎて、声で打つようになった話

― 第4話:音声入力の素晴らしさに今更ながら気づく―


自作キーボードを使ってる。

こだわって作った。キーキャップは無刻印のセラミック。見た目は最高。打鍵感も最高。ただ1つだけ問題があって、文字が書いてないから配列を覚えてないと打てない。

毎日触ってれば手が覚える。でも俺の生活だと、朝早く出て、現場回って、帰ってくるのが夜10時とか。子どもたちも妻ももう寝てる。ご飯食べて、トラと遊んで、気づいたら寝落ち。パソコンを開く時間なんてほぼない。

たまに時間ができて「よし書くか」ってキーボードに向かうと、YとUとIがどこにあるか一瞬わからない。無刻印だから当然見てもわからない。タイプミス連発。自業自得なんだけど、こだわった結果がこれかと。


で、たまたまマイクが手元にあった。

もともとちょっと勉強したいことがあって、AIに声でアウトプットしてた時期がある。覚えたことをChatGPTに向かって喋って、合ってるかどうか返してもらう。最初はちょっと恥ずかしかった。自分の部屋とはいえ、マイクに向かって1人で喋ってるわけだから。休みの日なんて家族に丸聞こえ。でもまぁ、慣れた。便利さには勝てない。

声に出すと、わかってないところが一瞬で見える。頭の中じゃ「わかったつもり」だったのに、喋ろうとすると詰まる。で、AIが返してくれるから、その場で修正できる。1人で参考書読んでた時と定着率が全然違う気がした。


最初はパソコンの前でしか使ってなかった。自室にマイクを置いて、そこで喋る。それだけ。

でも通勤中に「これ、外でもいけるな」って思った瞬間があった。

歩いてる時、周りに人がいないタイミング。イヤホン繋いで、スマホをポケットにしまって、AIと会話する。スマホ見てると画面に集中しちゃって電柱とかにぶつかるタイプだから、ポケットにしまったまま声だけで完結するのがちょうどよかった。

そこからちょっとずつ広がった。

パソコンの前だけだったのが、通勤の歩き、キッチン、リビング。場所を選ばなくなった。もともとiPhoneの音声入力ボタン、フリック入力のとき誤反応して邪魔だから消してたんだけど、設定戻して復活させた。iPhoneの音声入力、勝手に送信されないし、「改行」って言ったらちゃんと改行してくれるし、わりと優秀。

気づいたら、文字を打つ場面のほとんどで声を使うようになってた。


で、家の中でも喋るようになると、当然子どもたちが気づく。

最初は電話だと思ったみたいで、静かにしてくれたり、そっと離れてくれたりしてた。いい子たちだなと思いつつ、別に電話じゃないんだけどな、とも思いつつ。

そのうち慣れてきて、あんまり気にしなくなったらしい。パパがスマホに向かって喋ってるのが日常の風景になった。

ある日、妻に「キーボードで打つより声のほうが速いから、こっち使ってる」みたいな話をしてたら、横にいた息子が言った。

「僕もパソコンやりたい」

ひらがな覚えたらね、って返したら、

「だってマイクに向かって話せばできるんでしょ?」

……聞いてたんかい。

いやほんと、こんなとこまで聞いてるもんなんだな。子どもって。


ほんとにしょうもない話だと思う。キーボードにこだわりすぎて打てなくなりました、声で打ってます、って。ブログに書くような話かよって自分でも思う。

でもまぁ、パソコンの前に座らないと何も始められなかった人間が、歩きながらでも風呂上がりでも寝る前でも、とりあえず声出せばなんか進む、っていう状態になれたのは、わりと大きい変化だった。

ちなみにこの記事も全部音声入力で下書きしてる。話が長くなるっていう副作用つきでね。