急性アルコール中毒とは。症状、アルコールの代謝、対処法など





 

急性アルコール中毒とは

1979年のアルコール中毒診断会議により出された診断基準によれば、「アルコール飲料の摂取により生体が精神的、身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生ずるものであり、通常は酩酊としょうされるものである。」とされ、酩酊の分類についてはBinderの3分類法を採用し、酩酊を普通酩酊と異常酩酊に分け、異常酩酊をさらに病的酩酊と複雑酩酊に区分している。

 

普通酩酊

以下のa、b、cがすべて該当すること。

a.過去数時間に以内に行われた飲酒が認識され呼気にアルコール臭があること。

b.次の2項目のうち1つが確認されること。

  • 飲酒に起因した非病巣性神経学的徴候を有すること。例えば、運動失調、不明瞭な言語、不確実な歩行、眼振、昏睡等を有すること。
  • アルコール酩酊を示す行動上の諸徴候を有すること。例えば不適当な泣き笑い、声高い話し方、多弁、好戦的行動、性欲亢進、ところ構わず寝る等、当人にとってふさわしくない行動上の徴候である。

c.内科的疾患、神経学的疾患、精神科的疾患、他の薬物中毒の存在が否定されること。

※ただし、アルコール精神疾患として扱う普通酩酊は大量飲酒による昏睡等高度の意識障害を呈するものに限定する。

異常酩酊

通常の急性アルコール中毒とは、質的量的に著しく異なる酩酊の状態が出現する場合をいい、病的酩酊および複雑酩酊に区分する。異常酩酊はせん妄、失見当識、著しい興奮等がみられるため、アルコール精神疾患として扱う。

病的酩酊はアルコールに対する生物学的特異反応であり、複雑酩酊は性格等に基づく心理的な反応である。

a.病的酩酊

  • 飲酒中ないし飲酒直後に著名な行動上の変化が出現すること。例えば、当人の非飲酒時に見られない精神病的反応で、攻撃的ないし暴力的行動の亢進が認められる。しかし、その際非病巣性神経学的徴候を欠く。
  • その反応の時間や常軌を逸した行動について追想障害を残している。
  • 病的酩酊には妄想型とせん妄型が存在する。妄想型の場合気分は不安苦悶状で疎通性を欠き、せん妄型では離脱期せん妄に似た運動、不安、幻覚を生ずるもので、両者とも見当識が著しく侵され周囲の状況の認識を欠く。
  • 飲酒量は必ずしも大量ではなく、純アルコールに換算して約100gを超えないこと。

b.複雑酩酊

通常の酩酊の量的に異なる酩酊であり、飲酒および飲酒後の興奮が著しく強度でかつ長い。しばしば粗暴な攻撃行為または性的露出、性的加害行動が行われるが、その行為は状況からある程度理解でき、当人の非飲酒時の性格と全く無関係とはいえない。様々な程度の酩酊時についての追想障害がみられる場合がある。

 

表.血中アルコール濃度(BAC)と臨床症状
BAC 区分 臨床症状 脳への影響
0.02〜0.04% 微酔爽快期 気分さわやか。活発な態度をとる。 毛様体が麻痺すると、理性を司る大脳皮質の活動が低下し、抑制されていた大脳辺縁系(本能や感情を司る)の活動が活発になる。
0.05〜0.1% ほろ酔い初期 ほろ酔い気分。脈拍数、呼吸数が速くなる。話はなめらかになり、抑制が取れる。
0.11〜0.15% ほろ酔い極期

(酩酊前期)

気が大きくなり、自己抑制が取れる。立てば少しふらつく。
0.16〜0.30% 酩酊極期 運動障害が生じる。まともに歩けない(千鳥足)。呼吸促迫、嘔気、嘔吐。 小脳まで麻痺が広がると、運動失調(千鳥足)状態になる。
0.31〜0.40% 泥酔期 歩行困難。転倒すると起き上がれない。意識混濁、言語支離滅裂。 海馬(記憶の中枢)が麻痺すると、今やっていること、起きていることを記憶できない(ブラックアウト)状態になる。
0.41〜0.50% 昏睡期 昏睡状態。屎尿失禁。呼吸麻痺をきたし死亡する危険大。 麻痺が脳全体に広がると、呼吸中枢(延髄)が危ない状態となり、死に至る。

 

アルコールの代謝

  • 経口摂取されたアルコールは胃から約20%、小腸から約80%が吸収される。そして血中に入り、全身にいきわたる。
  • 体内に入ったアルコールの大部分が肝臓で代謝される(約90%)。肝臓ではアルコールはアセトアルデヒドを経てアセテート(酢酸)に分解される。
  • アセテートは血液によって全身をめぐり、筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解された体外に排泄される。
  • 摂取されたアルコールの2〜10%がそのままのかたちで呼気、尿、汗として排泄される。しかし、アルコールを急速に飲みすぎると、肝臓での代謝が間に合わなくなり、アルコールは代謝されずに血液に乗って全身の組織をめぐる。そして脳に送られたアルコールが脳の神経細胞に作用し麻痺させる。その結果として「酔い」の状態が起こる。

 

対処法

  • 意識レベルを確認し、意識がない場合(昏睡状態、反応がない)は救急車を手配する。
  • 一人にせず誰かが必ず付き添う。
  • 横向きに寝かせる。
  • ベルトなど体を締め付けているものは外す。
  • 自分で吐けない場合は無理に吐かせない。
  • 嘔吐したときは、吐瀉物をよく拭き取る。
  • 時々バイタルサイン(呼吸はあるか、脈はあるか)を確認する。
  • 体温が下がらないよう、毛布や上着などをかける。
  • 可能ならば水やお茶、スポーツドリンクなどの水分を補給する。

回復体位

意識はないものの普段通りの呼吸がある場合は、回復体位をとらせる。呼吸が妨げられないようにする体位で、体を横向きにし、頭を反らせて気道を確保するとともに、嘔吐しても自然に流れるように口元を床に向ける。長時間回復体位にするときには、下になった部分が血液の循環が悪くなるので、約30分毎に反対向きの回復体位をとらせる。


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