適応障害(adjustment disorder)とは。症状、治療法など





【概要】
誰の目から見ても明らかなストレスをきっかけに、1〜3ヶ月以内に不安、憂うつな気分、行為の障害(無断欠勤、ケンカ、無謀運転など)が出現し、この結果、仕事や日常生活に支障をきたすレベルの状態に至るものである。

ICD-10 によると「ストレス因子により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されている。

通常ストレス状態が解消されれば、症状は比較的速やかに消失する。勤労者では、仕事のストレスで発症することが多く、契機となった職場要因を調整・修正することで解決を図ることが第一ステップとして重要である。

【疫学】
ヨーロッパでの報告によると、一般的には人口の1%が罹患している。日本での末期がん患者の適応障害有病率の調査では16.3%といわれている。
しかし適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されている。つまり、適応障害はその後の重篤な病気の前段階の可能性もあるといえる。


【症状】

抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状がある。
行動面では、行き過ぎた飲酒や暴食、無断欠席、無謀な運転やケンカなどの攻撃的な行動が見られることもある。
子供の場合は、指しゃぶりや赤ちゃん言葉などのいわゆる「赤ちゃん返り」がみられることもある。不安が強く緊張が高まると体の症状としてドキドキしたり汗を書いたり、めまいなどの症状がみられることもある。

適応障害ではストレス因子から離れると症状が改善することが多くみられる。例えば仕事上の問題がストレス因子となっている場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、発汗などがあるが、休みの日には憂うつ気分も少し楽になり趣味を楽しむことができる場合もある。

しかしうつ病となるとそうはいかないことがある。環境が変わっても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分は続き、何も楽しめなくなる。これが適応障害とうつ病の違いである。持続的な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲が低下したり、不眠などが2週間以上続く場合は、うつ病と診断される可能性が高い。

 

【治療】
まず治療の一つとして「ストレス因子の除去」がある。また、ストレスをストレスと感じる人とそうでない人もいるように、ストレス耐性は人それぞれ異なる。

・ストレス因子の除去
環境調整をする。例えば暴力を振るう恋人から離れるために他の人に助けを求めるなどがこれに当たる。ストレス因子が除去できる、あるいは回避できるものであればいいが、家族のように動かせないもの、離すのが難しいものもある。

・本人の適応力を高める
ストレス因子に対して本人はどのように受け止めているかを考えていくと、その人の受け止め方にパターンがあることが多くみられる。このパターンに対してアプローチしていくのが認知行動療法である。また、現在抱えている問題と症状自体に焦点を当てて協同的に解決方法を見出していく問題解決療法もある。この認知行動療法も問題解決療法も、治療者と治療を受ける人が協同して行っていくものであるが、基本的には治療を受ける本人が主体的に取り組むことが大切である。

・情緒面や行動面への介入
情緒面や行動面での症状に対しては、薬物療法という方法もある。
不安や不眠などに対してはベンゾジアゼピン系の薬、うつ状態に対して抗うつ薬を使うこともある。ただし適応障害の薬物療法は「症状に対して薬を使う」という対症療法になる。根本的な治療ではない。
つまり、適応障害の治療は薬物療法だけではうまくいかないことが多いため、現場調整やカウンセリングが重要になっている。


【参考文献】

1)厚生労働省HP,「適応障害」,(http://www.rehab.go.jp/ri/kankaku/kituon/),閲覧日2017/11/10
2)大阪商工会議所(2012),「メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト」,中央経済社
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